歯内療法
- 2014年2月号 -
一般の方は、聞きなれない言葉ではありますが、俗にいう歯の神経の治療や根っこの治療を総称して歯内療法と言います。
時々、他の医院で痛くもないのに神経を取られたから当院で治療してほしいと訴える患者さんがいらっしゃいますが、その時はこうお答えします。
「神経を取りたくて、とっている歯科医はいないと思いますよ。その後の治療が大変ですから」
まさに言葉の通りで、根っこの治療は大変で、治療成績もよくない、回数がかかる、神経を取るので歯が弱るなど、患者さんにも歯科医にとっても良い事はないのです。
さて、そんな誤解を生みやすい歯内療法ですが、つい最近、ショッキングな情報を得ました。
2006年の論文ですから、すでにだいぶ日がたつのですが、Sabeti らが論文の中で、根の治療後、根に薬を詰めた群と薬を詰めなかった群で、根の先端の組織(骨など)の治癒に両者で差はでていない。と発表しました。
他の分野はわかりませんが、論文で真っ向から対立する結果が出ている場合もありますので、一つの論文だけで、それが真実と判断するのは早すぎますが、少なくとも歯科医にとっては、良くも悪くもかなり衝撃的なものです。
確かに、ごくまれに綿に薬を塗って最終的な詰め物として処置してある歯に出会います。多くの場合、問題を起こしているのですが、中には全く問題を起こしておらず、虫歯がこんな位置まで進んでいるのに、何で痛みが出ないんだろうと思いながら削っていくとそういった症例だったという事もありました。
人の身体は不思議なものです。