良い歯磨き粉?
- 2013年5月号 -
時々、患者さんから「先生、良い歯磨き粉ありますか?」と質問を受けます。
また、歯周病がかなり進行した患者さんから「スーパーや薬局で歯周病に良いて書いてある歯磨き粉使っているのになぁ」と声を聴きます。
お勧めの歯磨き粉ありますかと言われれば、状態によりますがもちろんあります。
ただ、根本的なところが十分に伝わっていないのだなぁと感じます。
歯周病に関して言えば、どんなに良い歯磨き粉を使っても、どんなに良い洗口液を使ってもそれだけでは治りません。
当院でも他院でも良いので、歯科医院で歯磨きの仕方を教わったときのことを思い出してください。
歯垢(プラーク)というバイ菌の集まりを赤く染め出して、それを歯ブラシでゴシゴシとった時、どれぐらいの時間がかかったでしょうか?
菌が赤く染まっているわけですから、通常よりもはるかに見やすい状態なのに、それでもかなり時間がかかったと思います。
そして、それを取りきった時の口の中はとてもさわやかな感じがしなかったでしょうか?
歯磨き粉の中にはスーとする成分があるため、全然磨けていなくても、磨いたような感覚を持ってしまいます。
よって、本来ならば歯磨き粉を使わずしっかり磨くこと、これが基本であり大前提となります。
また、私たち歯科医や衛生士のようなプロでも自分の口に中を100%しっかりと磨けるかというとそれは難しい話になります。よって、定期検診でプラークから歯石となってしまったものを取り除いていくわけです。
以前、歯周内科のことについて触れたことがありますが、あの記事にはこの大前提が誤魔化すように少ししか書いておらず、あたかも飲み薬と洗口液だけで改善したというように感じさせてしまうことが問題だったのです。
さて、ではお勧めは何かと言われれば、以下のものになります。
・ジェルコートF
歯周病対策としてクロルヘキシジンを配合した歯磨き粉です。一方で、スーとする成分である発泡剤などは入っていませんので、誤魔化されにくいという利点もあります。
「最近の歯ミガキ剤は発泡剤(泡立ち成分)・研磨剤がほとんどの物に配合されていますが、実はそのような成分は殺菌力を低下させてしまいます。」「歯周病学」(永末書店)より引用
よって、発泡剤・研磨剤が含まれていないものがより効果的だと考えられております。歯と歯グキの健康のためには、発泡剤・研磨剤は不要なのです。
・アロナール
この歯磨き粉の特徴は、上記と似ていますが研磨剤が入っていないことです。ジェルコートFでは、やはり発泡剤がないため磨いた気がしないという方にお勧めしています。研磨剤が入っていないため、ブラッシング圧が強く、歯が削れてしまう方にもおすすめできます。
・コンクール
国内で販売されている洗口液の中で、最も高濃度のクロルヘキシジンを配合したものです。インプラントオペ、歯周外科オペ後で、歯ブラシができない状態の時に当院では必ず使用していただきます。それぐらい優れた洗口液です。
ただし、着色しやすいという欠点もありますので、常時使用となるとより一層、歯ブラシを頑張っていただく必要があります。
これらは、通常の薬局やスーパーなどでは手に入らないと思います。
ただ、多くの歯科医院では販売していると思いますので、ご入用な方は歯科医院にて購入してください。