日本の歯科医療レベルは高いのか?
- 2013年3月号 -
以前、知り合いのHPをのぞいた時に、ふっと眼に入ってきた言葉です。
実際、日々診療を行う方からすれば、気にならないはずはなく、読ませてもらいました。
要約すると以下のようになります。
「日本では、保険制度があるため多くの患者が保険を利用して診療をうけます。
ただし、保険ではその料金も国が定めた料金であり、先進諸国の同様の治療に比べ著しく料金が低額に設定されている。
よって、歯科医師も医院を継続するために利益は必要であり、そのため、ある程度の患者数を見なければならず、どうしても治療レベルは低下する。」
・・・・・正直、耳が痛い話です。
確かに、書いてある内容は筋が通っており、納得してしまいます。
日本は、多くの分野で非常に高い技術力を持っているため、それが歯科治療にも当てはまると考えがちです。ただ、これに関しては上記のとおりで、そうとは言えないのが現状です。
実はアメリカや欧米諸国、また韓国などでも歯科治療に関して保険外としている国が多いことは事実です。
材料・治療法や治療の料金まで、その先生の技量で判断できる保険外治療(自費)治療の方が、さまざまな制限のある保険治療よりはるかに良い治療が行えるのは当然であると思いますし、これに関しては、多くの歯科医師で異論のない所だと思いますし、私もそう思います。
ですから、当院でも保険外治療は行っていますし、お勧めもしています。
しかし、保険外専門の医院の先生たちがこぞって保険治療の欠点、診療レベル、不採算性等をブログなどで書き上げていくことに関しては疑問を感じざるえません。
その先生たちにお聞きしたいことがあります。
特に一般家庭の子供が多い国立の歯学部出身者の先生、あなたが大学生だったころ、歯が痛くなったときに、今のあなたの歯科医院に通えたでしょうか?
貧乏学生だった私には、歯の大切さはわかっても、自費専門の医院に通うお金は残念ながらありませんでした。
保険外の治療の良さ、利点などを世に広めることにはとても良いことだと思います。デンタルIQも上がりますし、予防に関する意識も変わると思います。
ただ、保険により、より多くの人が最低限の治療を受けることができるという事も忘れてはならない事ではないのでしょうか?
本来、保険診療の目的というにはそこにあったのではないでしょうか?