インターネットの口コミに関して(2)
- 2012年6月号 -
先月に引き続きになりますが、良い医院、悪い医院というのは、その人が求めるものに一致しているかが大きな要素になると私は考えます。
患者さんから見ても
「聞いてもあまり分からないし、長々と説明するよりさっと治療してほしい」
「一度の治療時間が長くてもいいので、回数を減らしたい」
「しっかりと説明を聞いて、納得した上で治療を受けたい」
様々な要望や考えがあります。
逆に治療する側からしても
「虫歯の部分だけの治療を求めているんだから、そこだけ治療すればよい」
「患者さんが求めている虫歯の治療だけでは、根本的な治療にならないので、全体的にかみ合わせなども含めて見ていくべきだ」
「虫歯や歯周病の治療も大事だが、それよりもそうなった背景を考え、プラークコントロールがしっかりできるような口腔内に、例え外科処置を行ってでもするべきだ」
同様に様々な考えや方針があります。上記は一例にすぎません。
また、歯科医師も保険の中で診療していく以上、保険のルールに従って診療していかざる得ないという現実があります。
治療する素材に関しても、保険の指定するもので十分と考える患者さんや先生から、保険外でいいので最高の素材で治療したいと考える患者さんや先生まで様々です。
患者さんの考えは特に多岐にわたりますので、歯科医師がある程度柔軟に対応していく必要があるとは思います。
しかし、医療である以上、対応できる事とできない事がどうしても出てきます。
患者さんと歯科医師の考え方や方針があまりに違い過ぎると、どのようなすごい先生であってもその患者さんにとって良い医院もしくは良い歯科医師とはなりえないのです。
以前、記載したように、全国的に名が知れた義歯の名医の先生でも、患者さんの訴えを聞いて、難しいと感じたら他の医院をすすめると言っていました。私が最初の頃にうけたインプラントの研修で講師をされた先生も同じような事を仰っていました。
そんなすごい先生達でも、やはり患者と考え方が違う場合は治療を行わない、つまり、その患者にとって、良い医院となりえないのだと思います。
また、非常に難しい症例で、様々な医院を渡り歩いている患者さんがいます。
歯科医師として自分自身の技術では難しいと感じながら、治療を行うべきでしょうか?
それとも、他の先生に任せるべきなのでしょうか?
個人的には医療という性質上、自分の技術以上であると感じた場合は手を出すべきではないと考えています。
どちらが良い医院なのでしょうか?一概には言えないと思います。
この続きは来月に総括したいと思います。