歯科治療は高いのでしょうか?
- 2010年6月号 -
日本において、歯科治療保の多くは保健適応です。
逆にそれが、歯の大切さを軽視することにもつながっているのではないかと感じることが多々あります。
欧米の方を過去、何人も治療してきましたが、その方々の口の中のきれいさ、素材へのこだわり(自費治療)に何度も驚かされます。普通にオールセラミック等の自費の治療を希望されます。
この違いは何なのかと考え、少し調べてみました。
知り合いのHPから歯科治療費の国際比較のデータと文章をお借りしました。
元の資料は東京医科歯科大学大学院医療経済学分野の川渕孝一先生の資料となります。
このグラフは根管治療(根の治療)と金属冠(かぶせもの)の治療費の国際比較です。
日本を含む7カ国平均の歯科治療費は根管治療「50,500円」、金属冠「75,836円」となりました。
日本の料金と比較すると、約8.5倍の格差があります。
こちらはコンポジットレジン充填と抜歯の料金の国際比較。データがない国もあります。
レジン充填の平均費用は「11,069円」で、抜歯費用は「22,885円」となりました。
日本との格差は、レジン充填で約3.9倍、抜歯では約9.3倍となりました。
最後に歯石取りと標準型レントゲン撮影料金の国際比較。歯石除去の平均費用は「6,120円」で格差が8.4倍。小さなレントゲン撮影は「3,370円」で格差が約7.5倍となりました。
日本では保険適用されないセラミック冠(陶材焼付冠)は、日本が約8万円で、国際平均が11万7千円で、格差は小さく約1.5倍となっています。「高い、高い」といわれているセラミックの歯も、先進国の平均から見ると安い方なのです。フランスの平均費用は21万円です。ちなみに当院では7万5千円です。
ちなみに日本の料金は「10割負担」での費用のとして計算されていますから、3割負担であれば、さらに支払い金額での格差は大きくなってきます。
全体的に見ると、日本の歯科治療費は「国際平均価格のわずか13%=87%引きという超破格」であり、3割負担での支払い金額で考えると「国際平均歯科治療費のたった3.9%」で歯科治療が受けられているのです。
保健により、安く治療を受けられること。これは、患者さんにとってとてもメリットがあることに思います。ただ、逆に安いがうえに、歯の大切さを忘れがちではないでしょうか?
もし、保険がなくなって現在の治療を保険診療で支払っている金額の約25倍かかることになったら、どうでしょうか?
きっと、もっと定期的に健診に通い、日々の清掃も丁寧に行うのではないでしょうか?
今回は治療費というお金で歯の大切さを伝えたかったのですが、逆にいえば、いくらお金をかけても失ってしまった歯は戻ってきません。
現在ある歯を大切にしていきませんか?