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「治療した歯」に対する勘違い

- 2018年5月号 -

過去のTOPICで何度か記載したことがあると思うのですが、最も優れた歯は「治療していない自分の歯」です。

保険外でどんなに良い被せ物をしても、詰め物をしても、元々の自分の歯にはあらゆる面でかないません。

 

なぜ、こんな話をしたかというと気になる調査があったからです。

サンスターが15歳以上69歳以下の624人を対象に2次う蝕」に関する調査を行いました。

2次う蝕とは「治療した歯の詰め物や金属の間から虫歯になったもの」だと思ってください。

その結果、7割以上の方が2次う蝕を知らないという事が判明したそうです。

これに関しては2次う蝕が一応、専門用語なので特に問題はないと思いますが、問題は次の部分です。

 

一度治療した歯、特に神経をとった歯は虫歯にならないと思っている人がほとんどだった」と記載されていました。

気持ちはわからなくないですが、全く逆です。

 

詰め物をどんなに丁寧に行っても、金属の縁を拡大鏡でのぞきながら適合を合わせたとしても、虫歯のない本来の歯面ほど滑沢な状態にはできません。

それと同時に、物を咬むわけですから、咬む力が数千回・数万回と加わるうちにそれらをくっつけているセメントが砕けたり(以前は溶解すると考えられていたようですが、今はむしろ否定的)、接着面がはがれたりすることにより、隙間ができ、虫歯になりやすくはなります。

 

ゆえに以前は虫歯→即、治療となっていましたが、今では初期虫歯やC1程度であれば経過観察を行うのが主流となっています。

 

以前、12歳以下の虫歯が減少傾向にあるという事を書きました。

これは喜ばしい事なのですが、実は逆に大人の虫歯は増加傾向にあり、特に高齢者の虫歯有病率は顕著に伸びています

残存歯の増加という良い結果の反作用とも言えますが。

 

生活習慣の改善・口腔衛生の改善により、小児の虫歯は減少傾向にあるという事は、今の様々な取り組みの方向性は間違っていないと思います。このままこれが高齢者まで伸びてくれればと思います。

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