「まずは歯を治しなさい」
- 2019年9月号 -
「好きな日本の経営者」を問われた時、必ず上位に上がる本田宗一郎。
Hondaの創設者です。
今まで、松下幸之助に関する本は何冊か読んだのですが、本田宗一郎に関する物は読んだ記憶がありませんでした。
少し調べてみると、豪快でありながら人間味のあふれた人柄が伺えます。
創業時は「バカヤロー」と部下を怒鳴り、工具で従業員の頭を殴るなど、今やったらパワハラどころか大問題になりそうなエピソードが出てきます。
会社が大きくなった後も、道の混み具合を調べず運転するだけの運転手はクビにしたり、会議で怒鳴りつけられた重役が頭が真っ白になってカバンを忘れて帰るなどの豪快ぶりをうかがえる話が多数あります。
一方で、仕事が遅くまでかかり、奥さんが夜食を作った時は必ず列の一番後ろに並び、まず従業員に食べさせたそうです。
また、引退した後、これまで支えてくれたすべての従業員に直接お礼が言いたいと国内・国外の事業所を回っています。5人ばかりの小さな事業所を訪れた際、従業員が握手をするため手についた油を拭きに行こうとすると、そのままその手を握り「いいんだよ、それでいいんだ。働いている手じゃないか、立派な手だ。おれはこういう手が一番好きだ」と言ったそうです。町工場から一代でHondaを作り上げた人だから言える言葉です。
それを聞いた従業員の目からは涙がこぼれ落ちたそうです。
前半のような豪快な話もあれば、後半のような心温まる話も多数知ることができました。
さて、なぜ「本田宗一郎」の事をここまで書いたかというと、以下の話を聞いたからです。
本田宗一郎が社長を退くと決めた際、次期社長にこのように言ったそうです。
「まず、歯を治しなさい」と。
また、本田宗一郎は海外拠点のトップたちを呼び戻し、歯の治療をさせたこともあるそうです。
欧米などで「肥満」や「喫煙者」と同様に「歯のケアが出来ていない」人は出世が出来ないと聞きます。
「自己管理ができていない人が、どうして会社の経営ができようか?」
「自分の管理すらできない人が、どうして組織・従業員の面倒までみれようか?」
確かに納得してしまいますが、本田宗一郎が社長を退いたのが1973年ですので今から約50年近く前の話になります。
その頃からすでに欧米では言われていたのでしょうか?
それとも、世界に出ていた本田宗一郎ならではの気づきだったのでしょうか?
小さいとはいえ、院長は経営者でもあります。
私にとっても耳の痛い話ではありますので、とりあえず最近サボっていたランニングやジム通いを再開させました。
暫くは筋肉痛に悩まされそうです。