父親の夢、はかなく消える
- 2021年8月号 -
まだ小さい自分の娘に「将来、お父さんと結婚する」と言われたい。
これは娘を持つ父親ならきっと誰もが願うことでしょう。
そんな野望を胸に秘め、先日、とうとう3歳になった長女にドキドキしながら聞いてしまいました。
「将来、だれと結婚するのかな?」
娘はためらわずに答えます。
「お母さんと結婚する!」
びっくりして振り向く母親。
よく長女を怒っているお母さんを結婚相手に選んだわけです。
私が心の中で「チッ!」と本気の舌打ちをしていると、娘は続けてこう言います。
「その次は、ほーちゃん(次女)と結婚する」
そうか。姉妹の仲がいいのは良いことです。
そして、母親との結婚は離婚が前提なのだねと心の中でつぶやきます。
さて、最後はお父さんかなと待っていると、長女は何も言ってくれません。
とうとうこちらから
「お父さんとは結婚しないの?」と問いかけると
「お父さんは独りで生きなさい」
という返答が返ってきました。
いや、「お父さんとは嫌」とか「結婚しない」とか「ダメ」とか他の言い方があるのに。
3歳になったばかりの我が子に「独りで生きなさい」と言われるとは。
父親の夢がはかなく消えた悲しい話です。