乳幼児の口腔細菌は両親が深く影響する
- 2021年11月号 -
ライオンが行った研究で、乳幼児の口腔細菌叢の形成に両親の口腔細菌叢が深く影響していることが明らかになったと報告しています。
乳幼児の口腔細菌叢は生後1週間から数十種類が認められ、その後、徐々に増加して両親の持つ菌種の多彩性に近づいていくそうです。
また、父親と母親との共有率で有意な差はなく同等の影響を受けるが
・保育園に通っていない子供は母親との共有率が高い
・父親とのスキンシップの頻度が高い子ほど父親との共有率が高い
ことを報告しています。
実は以前のTOPICS(2018年3月号 歯周病の病因論とメカニズム)で以下のように記載しました。
アメリカで2000年ごろに「小・中学生の口の中には歯周病菌がおらず、10代後半に感染する」という論文が出されました。
日本でもそれに興味をもった先生が大阪大学付属病院の小児歯科患者を徹底的に調べた結果、やはり歯周病菌は検出されなかったそうです。
私が学生ぐらいの頃、3~4歳ぐらいで大まかな個人の口腔内細菌叢が完成すると習いました。しかし、今は20歳ぐらいに個人の口腔細菌叢が完成され、その後はあまり変わらないと言われているようです。
上記の内容と今回の報告では相反するようにも感じます。
しかし結果が異なる論文が出ることも珍しくはないですし、細菌叢が両親に影響を受ける・近づくだけであって、その細菌叢で完成するとは記載されていませんので、大元の論文を読むと実は対立するものではないのかもしれません。
いずれにしても、自分のためだけでなく子供のためにも口腔ケアをしっかり行うことは重要なことであると考えます。