なぜ大人の歯は生え変わらない?
- 2022年3月号 -
残念ながら、人間は永久歯が抜けると生え変わることはありません。
乳歯から永久歯に一度生え変わるだけです。
歯がどんどん生えてくれば歯科医院に行かなくてもいいし、もしくは行っても抜くだけでそのあと通院しなくてもいいので楽なのに・・・。
有名なところで、サメは歯が抜けても次々と歯が生えてきます。
そんな話を聞くと、うらやましいと考える人も多いと思います。
そこで、私の中に疑問が生じました。
地球が作られ単細胞生物が生じて、様々な形で進化していく中で、人間には今の生え変わらない歯という構造が与えられたわけです。
ということは、そこには何らかの必然性があったからそうなったのではないか?
そう考えながら、いろいろと調べてみましたが、私には答えを見つけられませんでした。
ただし、様々なことが分かりました。
サメの歯が次々と生え変わる、逆に言えばすぐ抜けるのは人間の歯のように歯の根がないからです。
また、進化の過程を考えたとき、少なくとも爬虫類までは歯の根が存在しないようです。
ということは、どうやら歯の根というのがポイントのように思います。
歯の根の周りには歯槽骨という歯を支える骨があります。
しかし、実際には歯と骨の間に歯根膜というわずかな空間があります。
この空間で圧を感じます。
食べ物によって噛み応えを感じ、食べ物に加える力・顎の動きをコントロールするのに関与しています。
サメなどのように餌を単にとらえ引きちぎるだけでなく、噛み切る・引きちぎる・すりつぶすなど様々な役割の歯が人間には生えていることも関係がありそうです。
何度も生え変われば便利だけど、噛み応えもなく噛み切るだけの食事をするぐらいなら、やはり人間の歯のほうがいいなぁと思います。