歯ブラシの選び方 ①
- 2023年7月号 -
歯ブラシはどういったものを選んだらよいのか?よく質問を受けます。
例えばドラックストアなどに行くと非常に多くの歯ブラシがあるため、悩まれるのも当然だと思います。
歯並びや口の大きさ、歯の状況など人それぞれですので、必ずしも記載したものが良いというわけではありませんが、参考になればと私の考えを記載してみました。
①毛の硬さ
毛の硬さには「やわらかめ」「ふつう」「かため」があります。
基本的には「ふつう」をお勧めします。
- 「かため」:歯ブラシを当てる位置や当て方、横振りの幅、持つ力や磨く力などが適切でないと、歯茎や歯を痛めてしまい歯肉を退縮させたり歯が削れたり等、歯や歯茎を痛めてしまう可能性があります。
- 「やわらかめ」:プラークは粘着性があり、やわらかい毛先では十分な清掃が難しい可能性があります。ただし、歯周病がかなり進行した方や外科処置を行った場合、一時的にお勧めする場合があります。
②ヘッドの大きさ
ヘッドの大きさに関しては、小さいサイズのものをお勧めしています。
一般的に磨き残しが多い部分は「奥歯」と「歯の間」と言われ、奥歯に関しては歯ブラシがしっかり届いていないことによる磨き残しを非常に多く認めます。
日本人は口の大きさが小さいため(特に女性)、ヘッドが小さいものをお勧めしています。
欧米の患者を治療したことがある先生には共感いただけると思いますが、日本人と比べるとやはり口が大きいです。具体的な商品名は避けますが、予防先進国で売れていると謳われた歯ブラシを使っていたことがあります。やはり口の大きな外国の人に適するものだと個人的には感じました。
③毛先の形
毛先の形は大きく分けると少し丸みを帯びた「円状」、先が細くなった「テーパード」、平らな「水平」の3つに分かれます。
個人的には水平(もしくは円状)をお勧めすることが多いです。
プラークは粘着性があるためそれを落とすにはしっかりと毛先に力が伝わる必要があり、そのためには水平が最も適すると考えています。
毛先が細くなったテーパードは毛先が歯肉の縁やポケット内部に届きやすく歯周病予防に効果が高いとされています。しかし、テーパードでは毛先が細いため他の形状に比べプラークの除去能力が劣ってしまいます。
まずは歯と歯肉の境目のプラークをしっかりと落とすことが大切と考えていますので、歯周病の方においても「水平」を勧めています。
中には、一つの歯ブラシでテーパードと水平などが合わさったものもありますので、そのようなものを使用するのもよい手段だと思っています。
歯科医師の中にも様々な考えがありますし、口の状態は人それぞれなのでこれは私個人の考えだと思ってください。特に毛先に関しては意見が割れそうです。
せっかく歯ブラシの話をしたので、来月ももう少しだけ記載したいと思います。