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新聞への掲載②

- 2023年11月号 -

先日(10/20)、神奈川新聞の朝刊へ文章を掲載させて頂きました。

 

来月に糖尿病週間がある事より今回は歯周病と全身疾患などに関する質問を選ばしていただきました。せっかくですのでトピックに掲載記事および原稿文章を掲載させて頂きます。

 

(掲載記事)

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(原稿)
Q:高血圧と糖尿病でずっと内科に通院しています。しかし、治りが悪く、先生から歯周病の影響もあるかもしれないから一度歯科にかかってくださいと言われました。どういうことでしょうか。歯周病と何か関係があるのでしょうか。

 

A:人の唾液には1cc中に1億もの細菌が存在し、歯垢(プラーク)1g中には100億もの細菌が存在します。この細菌が出す毒素により歯肉が炎症を起こし、歯を支える骨が溶かされる病気が歯周病です。
歯周病は特別な病気ではありません。成人の10人中8人に歯周病が見られます。また、歯を失う原因で最も多いのがこの歯周病です。
近年、疫学や臨床および基礎研究から歯周病と全身疾患との関わりが解明されてきました。
具体的には糖尿病、心筋梗塞などの心臓病、脳梗塞などの脳疾患、動脈硬化や高血圧、認知症、低体重出産や早産、誤嚥性肺炎などの疾患との関連が指摘されています。
歯周病菌は腫れた歯肉から血管内に入って全身に回ることによりさまざまな疾患と関連していきます。
例えば動脈硬化は不適切な食生活や運動不足などの生活習慣が要因とされていますが、別の因子として歯周病菌が考えられています。歯周病菌の刺激によりかゆ状の脂肪性沈着物が血管内に生じ動脈硬化を引き起こす原因となります。また、これにより血管が細くなり、これらが剥がれて血の塊ができると血管が詰まる原因(心筋梗塞や脳梗塞)となります。
糖尿病に罹患している人はそうでない人に比べ歯周病にかかっている比率が高いことは以前から多数報告されていました。しかし、それだけでなく歯周病が悪化すると糖尿病も悪化するという関係もあり、歯周病と糖尿病が相互に影響を及ぼす関係と考えられています。そして、歯周病治療により糖尿病が改善されることも報告されています。
歯周病の原因は歯垢(プラーク)ですので、これをしっかり取り除くことが歯周病にとって最も大切な治療であり予防となります。
まずは日々、正しい方法で歯磨きを行うことが基本となります。歯ブラシだけでは取り除けない歯間部に関してはフロス(糸ようじ)や歯間ブラシを使用すると効果的です。
毎日、すべての歯垢(プラーク)を取り除くことは難しいため、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることも必要となります。
これらを適切に行えば、歯周病のコントロールは十分に可能だと思います。

 

 

 

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