矯正とは、歯につけた金具やゴム等により力を加えて動かし、歯並びを改善する治療です。
一口に矯正と言っても、小児に行う咬合誘導、部分的な歯だけ動かす部分矯正(MTM)、成人で全顎的に行う全顎矯正など目的も方法も異なります。
また、弱い力を持続的に加え歯を動かしていくため、どうしても通常の歯科治療よりも期間がかかってしまいます。
今回は、少しでも矯正について理解していただきたいと思い、新たに矯正用のページを作りました。
当院長が治療した症例をご紹介します。
歯並びを治したいと矯正を希望された症例
10代男性-
前歯の歯並びを治したいということで当院を受診されました。
術前の写真のように、前歯部分は1本だけが咬んでおり、それ以外は空間が空いている状態でした。
また、前歯の歯並びが乱れているだけでなく、奥歯に関しても中間ぐらいまでは2~4mm程度空間が空いており、全く上下が咬み合っていない、当たっていない状態でした。
分析・診断を行い、上下の歯を1本ずつ抜歯し、歯を並べる方針で治療を行いました。簡易診査・診断料 5,000円 2次診査・診断料 30,000円 抜歯料金(4本) 12,000円 基本矯正料 650,000円 保定装置 作製・装着料 60,000円 総額 757,000円(税別) この症例は、前歯の歯並びが乱れていることよりも、奥歯数本と前歯1か所しか咬み合っておらず、中間ぐらいまで上下の歯の間に隙間が空いていることが矯正の難易度を上げています。歯を動かす時に、前後だけでなく上下の動きが加わると歯を動かす治療(動的治療)だけではなく、その後に続く、動かした歯をその位置に固定する治療(保定)が難しくなります。この後、患者さんには保定装置を使ってもらい、定期的にチェックしていきますが、それを怠ると元の咬み合わせに戻ってしまう危険性が高い症例です。
前歯の歯並びを治したいと矯正を希望された症例
20代女性-
前歯の歯並びを治したいということで当院を受診されました。
前歯に乳歯が一部残っており、それに代わるはずだった永久歯が内側に出たままの状態でした。
また、症例1と同様に前歯部分は1本だけが当たっており、それ以外は空間が空いている状態でした。
一見すると前歯の部分矯正で治せそうに見えますが、分析・診断を行うと咬み合わせを作るには明らかに空間が足りず、上下の歯を1本ずつ抜歯し、歯を並べる方針で治療を行いました。簡易診査・診断料 5,000円 2次診査・診断料 30,000円 抜歯料金(4本) 120,00円 基本矯正料 650,000円 保定装置 作製・装着料 60,000円 総額 757,000円(税別) この症例は記載したように一見すると、前歯だけの部分矯正で治せそうにも見えます。
では、もしこの症例を前歯だけの部分矯正で治した場合、どのようになるのでしょうか?おそらく、前歯の歯並び、見た目はある程度、改善することが望めます。しかし、上下の前歯の並ぶ位置が大きくずれるため、前歯が全くかみ合わず、大きく隙間が出来てしまうはずです。
臨床で歯科医師が矯正を学ぶ時、部分矯正から学んでいきますが、個人的には限られた空間の中で並べなければならない部分矯正の方が難易度が高い症例も多いように考えます。 抜歯をせずに下の前歯の矯正を希望された症例
60代女性-
下の前歯の歯並びを治したいということで当院を受診されました。
個人的には上顎の前歯部の被せ物も気になりましたので、全顎矯正をお勧めしましたが、同意は得られませんでした。
本来なら下の前歯を1本だけ抜歯して矯正を行うべきかと考えましたが、患者さんの要望・年齢を考慮し、抜歯をせずに、前歯部の両脇を少しずつ削って並べる空間を作り出し、何とか歯並びを整えました。簡易診査・診断料 5,000円 2次診査・診断料 30,000円 基本矯正料 250,000円 保定装置 作製・装着料 25,000円 総額 310,000円(税別) もし、今、同様の症例に合ったら、迷わず抜歯して矯正することをお勧めします。前述しましたが、限られた空間の中で並べなければいけない今回の様な症例は、個人的には全顎矯正よりも難しい症例と考えています。もちろん、簡単な部分矯正もたくさんありますので、その点はかかりつけの先生にご相談ください。
残っている乳歯を抜いて永久歯を移動させた症例
20代女性-
残っている乳歯で咬むと痛いので治したいと来院されました。
確かに乳歯が残っていますが、すでにグラグラの状態でした。レントゲンではその下に永久歯を認めますが、通常の歯の形をしておらず、これが原因で乳歯も生え変わらなかったと予測しました。
残っている乳歯を抜歯し、埋まっている永久歯を移動させました。やはり、歯の形態が通常とは異なっていた為、神経をとり白い歯(MB)を被せました。簡易診査・診断料 5,000円 2次診査・診断料 30,000円 基本矯正料 200,000円 総額 235,000円(税別) 実はこのような症例(埋まっている永久歯を引っ張る)ことは、比較的よくおこなわれます。そして、症例3とは違い、このような部分矯正(MTM)は比較的、容易な症例と考えます。
この症例は永久歯が通常の形をしていなかった為、神経をとったり被せ物をしたりしましたが、通常は移動させて、動かないように細工して終了となります。
審美用装置と従来の装置の比較
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近年では、矯正の装置が目立たないように審美ブラケット・審美ワイヤーを用いて矯正を行う事も珍しくなくなりました。従来の矯正の装置に比べると、かなり目立ちにくくなっています。
審美ブラケット 75,000円(税別) 審美ワイヤー代 75,000円(税別) 矯正用のインプラントを用いた症例(SAS)
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矯正の補助的な装置として矯正用インプラントを使用するケースも珍しくありません。矯正用インプラント単独で治すというよりも、矯正の補助として使用し治療を効率化し、以前では難しかった症例も簡易化することができると考えます。
例えば、既に後方の歯がない状態で、内側に入り込み、かつ回転しているこの歯を従来の金具と針金で移動させようとすると、意外と大変なのです。まず、通常の位置に金具が付けられません。このような時にSASを使用すると、2カ月で金具がつけれるまでに動いてくれました。この後、通常の方法で仕上げました。
既に後方の歯がない状態で、内側に入り込み、かつ回転しているこの歯を従来の金具と針金で移動させようとすると、意外と大変なのです。まず、通常の位置に金具が付けられません。このような時にSASを使用すると、2カ月で金具がつけれるまでに動いてくれました。この後、通常の方法で仕上げました。
ムーシールドを用いた症例
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2歳における反対咬合(うけ口)は半数近くが自然治癒するのに対し、3歳で反対咬合の場合、自然治癒するのは6%~15%程度しかないことがわかりました。
元来、3~4歳に矯正治療を行うことは難しく、経過観察という手段が取られ、そして年齢が上がった時に矯正を行うということが多かったように思います。
もちろんそれには意味がありますし、決して誤った方法ではないと考えられます。
一方で早期に治療で介入し、本格矯正を回避できれば、お子さんの精神的・時間的にも料金的にもかなりの負担を回避できると考えます。ムーシールドを使えば、すべての症例で改善が望めるといったものではありません。しかし、少なくとも口腔周囲の筋肉等の環境を整え、将来本格矯正に移る可能性を下げるとなれば、十分、意義があるものと考えます。
口の中の状態、歯並びの状態によりますので一概にはお答えできませんが参考例を挙げさせていただきます。
詳しく知りたい方はご相談いただければと思います。
参考例
- ●成人の全顎矯正
- 700,000円~1,000,000円
- ●部分矯正
- 200,000~400,000円
※上記に加え、月々の調整料5000円(税別)が加わります。
矯正歯科について患者さんから寄せられる、よくある質問にお答えしています。